日時:12月3日(木)17:00~19:00
会場:オンライン
参加方法:
以下URLより参加登録をお願いいたします(申込締切:12月2日(水)17:00)
https://forms.gle/wgFCLZ6ctvBtpMZz6

アジェンダ:
講演1)
「宇宙たん白質工場の開発」
二川健 氏(徳島大学 宇宙食品産業栄養学研究センター・センター長)

講演概要:
近年、欧米だけでなく日本でも有人の宇宙探査計画が発表されている。JAXAの場合、2030年頃を目処に有人月探査計画が発表した。NASAはさらにその上で火星での有人探査を目指している。そうなってくると宇宙活動のために最も必要となってくるのは「食」である。国際宇宙ステーションのような近距離の場合だと食材の補給が容易であるが、火星となると、その食材の栽培も必須となってくるだろう。映画「オデッセイ」をごらんになった方も多いと思うが、その映画では、火星に取り残された主人公が、ジャガイモを食べながらおおよそ2年間を生き抜き無事地球に戻ってくるというSFである。しかし、ジャガイモはほとんどが糖質であり、三大栄養素である脂質や蛋白質はほとんど含んでいないので、そんな食材だけで2年間過ごしたら、カロリー不足でほとんど動けなくなってしまうはずだ。このように宇宙の食で最も不足する栄養素はたん白質である。宇宙環境により生じる疾患に機能性を有するたん白質を効率良く量産するシステムを科学的に考案したい。

講演2)
「宇宙放射線被曝線量実測~宇宙滞在者の見えない命綱~コロナ禍は疑似宇宙?」
寺沢 和洋 氏(慶應義塾大学医学部・助教、JAXA有人宇宙技術部門・客員研究員)

講演概要:
宇宙滞在期間に制限を与える要素の1つが宇宙放射線による被曝である。定常的な被曝は、銀河宇宙線と(地球低軌道では)放射線帯からの粒子により受け、太陽フレア発生時には、加えて、突発的な被曝を受けることもありうる。前者の線量率は0.5~1 mSv/day程度で、地磁気圏外では1 mSv/dayを越えることも想定される。月や、特に火星への長期ミッションとなれば、銀河宇宙線のみの被曝でも、生涯被曝線量限度の~1 Svに達するか、超えることへの覚悟も必要である。後者の粒子については、銀河宇宙線の被曝の主たるエネルギー領域ほど高くはないため、シールドなしで直撃することがなければ被曝を低減できるが、そうではない場合、Svオーダーなることへの想定も必要である。これまでの日本発の実測例を中心に紹介し、放射線被曝の立場から、月面に村を作る上での必要と思われる事項についても少々言及し、皆様と共にどうすべきかを考察できればと考えている。

引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

月惑星に社会を作るための勉強会事務局
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