2022

第18回 月惑星に社会を作るための勉強会

日時:2022年1月28日(金)17:00~19:00
会場:オンライン
アジェンダ
テーマ:宇宙ビジネス動向
1)「En route to the Moon Market(月面マーケットへの道筋)」
Oleh Ventskovsky氏(Director of European Representation, Yuzhnoye Design Office)
The presentation will give an overview of major MVA developments aiming at facilitation of the Moon Market creation and functioning. The emphasis will be made on the possibilities for different businesses to find their niches in the future Moon ecosystem as well as on the ways
for them to be engaged in the MVA activities.
※英語での講演となります。英語の自動字幕が付きます。

2)「月面での事業化に向けた米国Sierra Spaceの取り組み」
高田 敦 氏(兼松株式会社 航空宇宙部)
米国Sierra Space社は,有翼往還機のDream Chaserのみならず,商用宇宙ステーションの開発やステーションの開発で得られた知見を月面での経済活動に活かしていきます.今回は,Sierra Space社の全般的な取組と,昨年NASAラングレー研究所から受注した炭素熱酸素製造炉(Carbothermal Oxygen Production Reactor)の実証契約と 共にご紹介いたします.

第19回 月惑星に社会を作るための勉強会

日時:2022年3月22日(火) 17:00-18:00
会場:オンライン
アジェンダ
1)「月(宇宙)にvillageを作ること-文化人類学からのアプローチ」
・岡田 浩樹氏(神戸大学国際文化学研究科・教授)発表スライドはこちらから
講演概要:「月(宇宙)にvillageを作ること」つまり,「社会」を構想するというのは,文化人類学を初めとした人文社会分野にとって大きな学問的挑戦(冒険)です.多くの人文社会系分野では,「今後あるべき社会・文化」は最終的な結論ではあるものの,所与(すでにある)社会や文化の解読を出発点とします.霊長類研究,人類の進化と主に取り扱う「自然人類学」と人類の社会・文化の多様性を取り扱う「文化人類学」は対になり,「人類の社会・文化」とは何かという問題に取り組んできました.「人類はどこから来て,どこに居るのか」という問いは,同時に人類社会・文化の多様性と可能性を理解することです.
この観点から言えば,宇宙(月)という新しい環境における社会・文化を構想することは,人類の「生存基盤」や「環境」の整備の問題を超え,そこにどのような社会・文化を創造(設計)するのか,設計や新しい環境の中で,我々の想像力を超える社会や文化をいかに想像するかという問題に取り組むことです.これは15世紀の「大航海時代」よりも,人類がアフリカを出て世界中の新たな環境に移動した「グレート ジャーニイ」という比喩が適切と思われます.
一方で,新しい社会・文化を構想することは,同時に現在の私たち(人類)の社会・文化がどのようなものであるのか,現代の世界が抱える諸問題を改めて考えることを要請します.文化人類学の立場から言えば,宇宙に私たちの社会(近代社会)を再現することが適切かどうか,近代社会が切り捨ててきた人類社会・文化の多様性とはなにか,と問いかけることになります.
本日の話題提供では,
(1)長期的スパンでの人類の社会・文化の問題を概観した上で,
(2)「月(宇宙)に村(組織・共同体・社会?)」を作る際に検討する際の分析枠組み,
(3)文化人類学における人類文化の要素分析を紹介し,今後具体的,個別の問題「月(宇宙)社会」の構想を検討する際の社会・文化的アプローチを皆さんとともに考えたいと思います.

第20回 月惑星に社会を作るための勉強会
日時:2022年4月26日(火) 17:00-19:00 計画中
会場:オンライン
アジェンダ
1)「大林組の宇宙開発」
・石川洋二氏(大林組技術本部未来技術創造部)
講演概要:大林組とその宇宙開発への取り組み全般について紹介します

2)「COMPACT AGRICULTURE構想」
・葛西秀樹氏(大林組PPP事業部プロジェクト推進部)
講演概要:モジュール化した食料生産システムによる持続可能な未来の農業と,宇宙開発への展開について,ご紹介します.

3)「現地資材を利用した持続可能な宇宙農業」
・川上好弘氏(大林組技術本部未来技術創造部)
講演概要:株式会社大林組と株式会社TOWINGは,月面や火星での農業の実現に向けて共同研究を行っており,月の模擬砂を用いたコマツナの栽培に成功しました.本講演では,今回実施した植物栽培に関する技術の概要について紹介を行います.

第21回 月惑星に社会を作るための勉強会
日時:2022年5月26日(木) 17:00-19:00
会場:オンライン
アジェンダ
1) 将来の月面活動に向けたMHIの取り組みについて
・辻田大輔氏 (三菱重工業)
MHIはロケットから月面まで見据えた宇宙開発に広く取り組んでいる.これまでの取り組み,および,MHIの描く将来の月面社会構想を紹介する.そして,月面社会の実現に向け,MHIが具体的な活動を推進するため選定したアイテムの概要を紹介する.

2) 持続的な有人月滞在に向けた居住サービスについて
・阿部光一氏 (三菱重工業)
有人月滞在,長期滞在に向けて,持続可能な居住サービスの開発,提供が必要となる.居住サービスの肝と考えている再生ECLSSについての紹介を実施する.

3) 月面資源の有効活用を目指した輸送機用極低温推薬プラントについて
・石川佳太郎氏 (三菱重工業)
高頻度で低コストな月面と地球との繰り返し輸送を実現する為には,月面での推進薬調達が不可欠である.月面での推進薬調達を実現する為の輸送機用極低温推薬プラントについて紹介する.

第22回 月惑星に社会を作るための勉強会
日時:2022年6月27日(月) 17:00-19:00
会場:オンライン
アジェンダ
1) 月社会実現のための直近の準備と宇宙開発の裾野の拡大について
・佐伯 孝尚氏(ISAS・教授)発表スライドはこちらから
月社会を実現するためには,早くから将来の形を考えるとともに,必要な技術を確実に獲得していく必要がある.2023年度には小型月着陸実証機SLIMの打ち上げが行われる予定であり,日本の月面活動が本格的に開始される.現在アルテミス計画で国際的に月探査が盛り上がりつつある中,月面の科学の実現と日本の月面探査技術の獲得双方を目指す活動がJAXA内で開始されようとしている.本講演ではこの活動の内容を紹介するとともに月開発を継続的に行うために不可欠な宇宙開発の裾野の拡大をどのように実現していくかの一案を示す.

2) 微生物研究から見た惑星保護の現状と持続可能な有人活動との両立について
・木村 駿太氏(ISAS・特任助教)発表スライドはこちらから
宇宙探査は惑星保護の方針に則って進められる必要があり,月探査もその例外ではない.現在の月探査に求められる惑星保護は軽微なものではあるが,月社会の形成おいては、持ち込まれる有機物や生命体は可能な限り管理されるべきであると考えられる.一方で,微生物や植物をはじめとした生物資源は社会の形成には極めて有用であり,その繁殖を制御した上で,月社会における人類の生命維持への利用検討を行うことは重要である.本講演では惑星保護の概要を紹介すると共に,微生物,特に光合成微生物であるシアノバクテリアを一例に挙げ,宇宙開発における管理対象としての側面と有用な生物資源としての側面の両面性を議論したい.

第23回 月惑星に社会を作るための勉強会
日時:2022年7月29日(金) 17:00-19:00
会場:オンライン
アジェンダ
リファレンスモデル構築における議論の報告(第一部)
2020年から勉強会を中心に,月での持続的な有人活動からさらに進めて「人類社会」とでも呼べる営みを実行するとしたら,何を考えたらよいのかを議論してきました.いわゆるリファレンスモデルとでも呼べるような社会の描像を仮の設定として作っておけば,議論がしやすのではないか?と言うような動機でした.アーキテクチャ,ビジネス,社会運営の制度,ライフサイエンス,文化人類学的視点,の5つの分科会を構成し,議論した結果を中間的な報告書にまとめることを目指して活動してきました.この結果を勉強会のみなさんと共有するため,今後数回にわたって分科会ごとにご紹介する機会を作りたいと思います.

月に人類社会を作る
1) 「リファレンスモデルを考える議論の動機のおさらい」
稲谷芳文氏(ムーンビレッジ勉強会代表)発表スライドはこちらから

2)アーキテクチャ分科会の報告 発表スライドはこちらから
・坂本勇樹氏(宇宙科学研究所・日本ロケット協会,分科会メンバー)
・鵜山尚大氏 (清水建設)
・北宅善昭氏 (大阪公立大学)
・岡本有生氏(IHI)
・森田健氏 (高砂熱学)
・後藤琢也氏 (同志社大学)
・岩崎祥大氏 (Yspace)

第24回 月惑星に社会を作るための勉強会
日時:2022年9月2日(金)17:00-19:00
会場:オンライン
アジェンダ
リファレンスモデル構築における議論の報告(第二部)
参加方法:申込締切りました

1)「社会科学分科会の報告」(一部検討中)
北村尚弘氏(GHRS法律事務所, 社会科学・制度分科会リーダー) 発表スライド(一部検討中)はこちらから
概要:社会科学分科会としては,リファレンスモデルに関して,月面コミュニティと地球との関係のルール,月面コミュニティ内部のルール,月面コミュニティ同士のルール,資源開発に関するルール等についての検討結果をご紹介するとともに,今後の課題やあるべき姿についてコメントしたい.

2)「ビジネス分科会の報告」
内田敦氏(MRI, フロンティアビジネス研究会、ビジネス分科会リーダー)発表スライドはこちらから
概要:本発表では,リファレンスモデルのうちビジネスモデル分科会での検討結果として,水資源市場および観光市場の市場規模の試算結果をご紹介するとともに,今後のリファレンスモデル検討についての課題や方向性の提案について述べる.

3)第23回アンケート結果

第25回 月惑星に社会を作るための勉強会
日時:2022年10月14日(金)17:00-19:00
会場:オンライン
アジェンダ
リファレンスモデル構築における議論の報告(第三部)
2020年から勉強会を中心に,月での持続的な有人活動からさらに進めて「人類社会」とでも呼べる営みを実行するとしたら,何を考えたらよいのかを議論してきました.いわゆるリファレンスモデルとでも呼べるような社会の描像を仮の設定として作っておけば,議論がしやすのではないか?と言うような動機でした.アーキテクチャ,ビジネス,社会運営の制度,ライフサイエンス,文化人類学的視点の5つの分科会を構成し,議論した結果を中間的な報告書にまとめることを目指して活動してきました.この結果を勉強会のみなさんと共有する第3回目となります.

1)「ライフサイエンス分科会の報告」
泉龍太郎氏(日本大学,ライフサイエンス分科会リーダー)
発表スライドはこちらから
概要:ライフサイエンス分科会の検討の現状として,特に将来の月・惑星社会における医療の課題と対応策を中心とした話題を提供したい.長期宇宙滞在に伴う医学的な課題に関する知見は,かなり蓄積されているが,医学・ライフサイエンス分野の技術革新のスピードは目覚ましいものがあり,その点を如何に考慮するかが大きなポイントとなる.さらに,月・火星等のような低重力で長期間生活することや,宇宙での経世代は,人類にとって未知の分野であり,その実現に向けた課題と,更には人類進化の観点からの考察も試みたい.

2)「人文科学・文化人類学分科会の報告」
岡田浩樹氏(神戸大学,人文科学・文化人類学分科会リーダー)
発表スライドはこちらから
概要:「月(宇宙)にvillageを作ること」つまり,「社会」を構想するというのは,文化人類学を初めとした人文社会分野にとって大きな学問的挑戦(冒険)である.「月(宇宙)に村(組織・共同体・社会?)」を作る際に検討する際の分析枠組みや今後具体的,個別の問題「月(宇宙)社会」の構想を検討する際の社会・文化的アプローチについて,分科会で検討した結果をご報告したい.

第26回 月惑星に社会を作るための勉強会
日時:2022年11月28日(月)17:00-19:00
会場:オンライン
アジェンダ
1)「月面開発における地盤工学の貢献-宇宙建設工学の創成に向けて-」
小林泰三氏(立命館大学)
発表スライドはこちらから
概要: 「月社会」を実現するためには,月面において人類が滞在・活動するためのインフラ施設の建設が必要となる.重力天体である月面での活動はレゴリスとの接触を伴う作業となるが,地上の建設プロセスと同様に,レゴリスの力学的な挙動を予測し,探査機や構造物の設計・運用に活かすための地盤工学的技術体系を構築しておくことが重要となる.本講演では,月レゴリスの物理・機械的特性と挙動予測技術について,これまでに分かっていること,将来に向けて知っておくべきことを過去の探査や最近の研究事例を交えて紹介するとともに,土木工学・地盤工学の立場から,月面における探査やインフラ建設の課題と展望を考察する.

2)「宇宙資源の活用と月面開発」

宮本英昭氏(東京大学)
概要:宇宙開発に関係する多数の方々による猛烈なご努力により,人類は既に太陽系内の天体を約100個も探査することに成功しました.惑星表面の科学で理解されたことをまとめてみると,将来の月や小惑星の活用方法が見えてきます.私はまずは地下30 cm程度までの物質の利用が本質的に重要となり,地球の資源掘削や利用方法とは異なる形で宇宙資源が活用されると考えています.将来の探査計画と関連させながら,今後の宇宙資源開発の展望について議論させていただこうと思います.