会長就任のご挨拶 (2013)

会長就任のご挨拶

日本マイクログラビティ応用学会(JASMA)は、今年で設立30周年を迎えます。

JASMAのそもそもの発足は、我が国がスペースシャトル実験への参加を決めたことに始まります。当時、世界の宇宙開発は、月面探査の偉業を終え、スペースシャトルの運用開始、宇宙ステーション時代の到来が目前にありました。

この時、日本の科学者は、これまで考えたこともなかった無重力、微小重力の科学技術をいかに構想し、世界のフロントランナーに躍り出るか、まさに期待と不安が交錯する状況にありました。さらに言えば、私たち日本人による宇宙実験が、宇宙空間を飛翔する姿を思い描くことは、学会活動を支える大きな希望でありました。

今時代は既に、国際宇宙ステーション(ISS)時代のまっただ中にあります。この30年の間、JASMAは宇宙環境を利用した科学技術の確立に、間違いなく大きな足跡を残しました。毛利 衛宇宙飛行士による第1次材料実験“ふわっと’92”をスタートとして、小型ロケット(TR-IA)実験、フリーフライヤー(SFU)実験、航空機・落下塔による簡易微小重力実験の推進など、多くの実験ミッションをこなすとともに、日中韓微小重力会議、ISPS国際会議の開催など、JASMAの活動は、日本に留まることなく、米国、欧州、ロシア、アジアにまで拡大しています。

宇宙は、あらゆる意味で広大、無限の未知なる空間です。微小重力実験を通じて、この広大無辺なる宇宙を実感すること、このワクワク感がJASMA発展の原動力であり、会員の皆様との絆です。日本の“きぼう”実験棟を含むISS運用終了が2020年に迫っています。継続可能性の議論もあるようですが、予断を許しません。JASMAが国民に向けて何を発信できるか、私たちの活動はさらに重要となっています。

手始めとして、本年の第30巻より日本マイクログラビティ応用学会誌の名称及び配布サービスを改めて、ウェブ雑誌 ”International Journal of Microgravity Science and Application”(略称、MSA)として発行いたします。宇宙実験の国際誌として、世界の科学者が自由にアクセスできる質の高い学術雑誌を目指します。

JASMAの次なる目標は、Beyond “KIBO” です。学会員の皆様の努力の結晶ともいうべき“きぼう”実験は、いまこの瞬間にも素晴らしい科学的発見を生み出しています。これらの運用成果をもとに、JASMAはその先を進まねばなりません。日本のみならず世界に向けて、宇宙環境利用の発展に向けた力強いメッセージを発信すべく、皆様のご協力とご支援を切にお願いいたします。

 

平成25年4月1日

日本マイクログラビティ応用学会

会長 石川 正道

 

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